枝垂れ桜の向こうに微笑をたたえる磨崖仏。奈良県宇陀の大野寺「小糸桜」

奈良県の北東部・室生の里、宇陀川の渓流沿いにひっそりとあるのが真言宗室生寺派の「大野寺」である。役行者が開き、弘法大師が天長元年(824)に室生寺を開創の時、西の大門として堂を建立したと伝わる。寺のそばを流れる宇陀川の対岸の岩に刻まれた高さ約13.8Mの弥勒磨崖仏と紅枝垂れ桜「小糸桜」で知られる。

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山門を入ったところと本堂前に佇む2本の「小糸桜」は樹齢300年の古木である。淡いピンク色の小さな花がこぼれんばかりに咲き誇り、枝が地面に届くほど垂れ下がる大樹であり、山門からは磨崖仏と桜をともに鑑賞できるのであるが、日中はちょっと線刻がはっきり見えないのが残念である。

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奈良在住の写真家であった入江泰吉が生前この桜を紹介したのをきっかけに人気になりました。

 

ペリーが来航した幕末の頃から谷を薄紅色の染める信州清内路「黒船桜」

国道256が走る清内路には嘉永6年(1853)ペリーが下田に来航した折に現在の場所に移植されたと伝えられることから名付けられたといわれる「黒船桜」がある。幹周3m、高さ10m、枝張り東西19m、南北14m、推定樹齢160年と村の天然記念物に指定されている。特徴的なのは横にぐんと伸びた立派な枝にたくさんの花を付け、下にたつとまるで花笠に入ったようになるほど、整った目を見張る美しさと、黒々とした幹とのコントラストが美しい。

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黒川にかかる大正橋から望むと、近くの山里の風景にもマッチして見応えもたっぷり。開花期には、竹を割ってつくった燭台に明かりを灯す。