山里の空を薄紅色に染める伝説を秘めた本郷の瀧桜。奈良宇陀「又兵衛桜」

万葉集に詠まれた奈良県大宇陀町の西部にあるのが本郷の瀧桜、通称「又兵衛桜」です。ここは2015年大河ドラマ「軍師 官兵衛」の黒田官兵衛に仕え、黒田二十四将にも数えられる戦国武将・後藤又兵衛が2016年大河ドラマ「真田丸」にも描かれた大阪夏の陣の道明寺の戦いに敗れたあと、ここに落ちのびて僧侶となり一生を終えたという伝説が残っている所です。この後藤家の屋敷跡にこの瀧桜があることから、このあたりでは又兵衛桜と呼ばれ親しまれているとのこと。

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大河ドラマ「葵徳川三代」のオープニングに登場して注目されるようになった樹齢300年、幹回り約3M、高さがおよそ13Mの堂々とした一本桜なのである。山が迫る田園風景に華を添えるように立つ桜の石垣から飛び出したように垂れる枝は力強く、その周りには約50本の深紅の桃の花と黄色の菜の花を従え、桜と桃、濃淡の異なるピンク色の二種の共演が華麗であった。

枝垂れ桜の向こうに微笑をたたえる磨崖仏。奈良県宇陀の大野寺「小糸桜」

奈良県の北東部・室生の里、宇陀川の渓流沿いにひっそりとあるのが真言宗室生寺派の「大野寺」である。役行者が開き、弘法大師が天長元年(824)に室生寺を開創の時、西の大門として堂を建立したと伝わる。寺のそばを流れる宇陀川の対岸の岩に刻まれた高さ約13.8Mの弥勒磨崖仏と紅枝垂れ桜「小糸桜」で知られる。

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山門を入ったところと本堂前に佇む2本の「小糸桜」は樹齢300年の古木である。淡いピンク色の小さな花がこぼれんばかりに咲き誇り、枝が地面に届くほど垂れ下がる大樹であり、山門からは磨崖仏と桜をともに鑑賞できるのであるが、日中はちょっと線刻がはっきり見えないのが残念である。

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奈良在住の写真家であった入江泰吉が生前この桜を紹介したのをきっかけに人気になりました。